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『六花の祈り』を終えて
ケント・モリ/秋辺デボ

Dialog EX.01

MORI
KENTO

ケーエムワン株式会社 取締役
AR&ダンスアーティスト
ケント・モリ

PRISM CO., LTD.

SHINTANI
NOBUYUKI

株式会社プリズム
代表取締役社長
新谷暢之

AKIBE
DEBO

アイヌ文化継承者/プロデューサー
秋辺デボ(秋辺日出男)

OVERVIEW

『第73回さっぽろ雪まつり』大通会場8丁目「雪のHTB広場」にて行われた、一夜限りのスペシャルコラボ・ダンスパフォーマンス『六花(りっか)の祈り』。このプロジェクトの翌日、興奮冷めやらぬ中、メインキャストの ケント・モリ さん、秋辺デボ さんのおふたりを迎えて行った対談企画。Dialog特別編としてお楽しみください。

ゲストのご紹介〜はじめに

新谷:

こんにちは。今回は札幌に来ています。『第73回さっぽろ雪まつり』3年ぶりのリアル開催ということで、プリズムも8丁目HTB雪の広場でプロジェクションマッピングをやらせていただいております。

雪まつりで初めてプロジェクションマッピングをやってみようということで、プリズム会長の深津と一緒にチャレンジしてから、10年が経ちます。そしてどういう巡り合わせか、今回の雪像のモチーフは10年前と同じ「豊平館」ということで、メモリアルなプロジェクションマッピングとなっています。

加えて、今回は札幌市制100周年ということで、何かプロジェクトをやりたいなと思って色々と考えていました。雪まつりの開催自体が非常にぎりぎりに決定したので、なかなか難しいところもあったんですけれども、お付き合いさせていただいている方々と相談をしまして、『六花(りっか)の祈り』というステージプログラムをプロデュースさせていただきました。

そのステージで、メインキャストとしてご出演いただいたおふたりを今回はお招きしてお話をしていきます。

昨日、ステージが終わったばかりで、興奮が冷めやらない状況でお話をお届けしたいと思い、札幌のコモノ株式会社さんのカフェ『THE RELAY』をお借りして収録することにしました。

それではおふたりをご紹介させていただきます。世界的ダンスアーティストのケント・モリさん。

ケント:

はい、よろしくお願いします。本当に昨日はありがとうございました。本当にお疲れ様でした。

新谷:

それと、アイヌの伝承者としてご出演いただいた秋辺(あきべ)デボさん。デボさんとは阿寒(あかん)とか白老(しらおい)でのアイヌのプロジェクトに関して色々とご指導をいただいて、一緒にお仕事をさせていただいています。今回はよろしくお願いします。

デボ:

宜しくお願いします。

新谷:

この3人でステージの振り返りから始めていきたいと思います。

舞台を終えての感想

新谷:

まずは、まだまだ全然興奮が収まらない状況ですが、どうですかね終わってみて。

ケント:

そうですね。もうなんというか、聖なる舞台だったなと思います。聖域というか、素晴らしい経験を僕自身させてもらいました。
本当に夢のようだったというよりも、夢でしかなかったという感じで。とにかく僕にとっては人生で一生忘れることが絶対にない、始まりと終わりの両方重なっているような、夢の舞台でした。

新谷:

ありがとうございます。デボさん、どうですか?

デボ:

昨日の今日なんだけど、繋がっていくって。終わらないなこれ、って。
ステージとしては終わったんだけど、『六花の祈り』というみんな共通の、平和への祈りや生きざまが、ダンスを通じて拡がって、そのためにこの舞台が設けられたんだなって。そういう意味で、ケントさんが言ったとおり終わりであり始まりだなと。その実感が胸のなかに今湧いてきて…いい舞台でしたね。

新谷:

北海道内のダンススクールから120名の子どもたちに参加していただいて、デボさんのお声掛けでアイヌの唄い手さんも3名入っていただいて実現したこの舞台なんですが、本当にいろいろな方にご協力いただいて、非常に短期間でしたが、成功させることができました。

決断力と判断力「夢」能であること

新谷:

僕、実は自信なく生きている方なんですよ。自分のなかの気持ちとして。毎日自信がないんですよ。色んな場面で絶対必要な“判断”ってあるじゃないですか。何かを決断しないといけない瞬間って、日々すごいスピード感でいっぱいくると思うんですよね、それぞれで。

ケント:

今日に至るまで、まさか新谷さんがそんなふうに思ってるなんて、まったく予想だにしてない。

新谷:

それは言えないですよね(笑)
言えないけど、自分の心のなかでは毎回その恐怖感で寝れない状態になるときが多くて。でも終わった後のみんなの笑顔だったり、声かけで半分ぐらい慰められてるんですよね。癒されてて。で、自分のなかでこれでよかったんだなという答えを出すんだけれども、でもいつも自分としては振り返るってことをものすごくしたくないんですよ。

ケント:

昨日本番に向かう直前に、リハーサルがあったんです。そのときに、僕、初めて人が”そわそわ”しているのを見たんですけど。新谷さん本当にそわそわしてた。めちゃくちゃおもろいな、と思って見てたんですけど、そういうことだったんですね。

新谷:

でもね、終わった直後にもインタビューさせてもらったじゃないですか。その時にすごい印象的だったのは、僕自身から素直に出た言葉として、僕は無能だしやれることはないけれども、やっぱりステージなりパフォーマーのために何ができるかっていうこと考えて動いてるんだなって。

ケント:

無能の「無」の部分は「夢」ですよね。「夢」の能ですよ。それで充分じゃないですか。

新谷:

じゃそれ、テーマでいただきます(笑)

デボ:

やっちゃえばいいんだよ、次々やりたいことを。

新谷:

でもその話をしたときにすごい嬉しかったのは、デボさんが、そういう人がいるから、俺たちが支えられてるんだよって言ってくれたことで。あ、そこなんだ僕らって。もちろんそうなんだけど、改めて気がついたというか。僕らも周りの人たちに支えられているわけです。だからプロジェクトは愛がある形で成立するんだなと。決められたルールで、パートで、仕事していくということではなくて、想いが集まってやると、みんなから気遣いが自然と起きて、ハートでつながっていって、最終的に形になって、また次につながっていくという…改めて、一番大事なことを気づかせてくれたと感じました。

ウレシパモシリ

デボ:

いつも飽きるほど言っている言葉があるんだけど。人間の住んでいる大地、
互いに育て合う大地「ウレシパモシリ」ってアイヌ語で表現する。まあ、あなたも(ケントさんも)あなたも(新谷も)ここにいるみんなも、ここにいない人も、みんな関連があって、何かしら協力し合って支え合って生きているんだよっていう言葉なのさ。だから油断しないで、人を見たら、人だ、と尊敬しようっていう意味。口がすっぱくなるほど言う。言われて育ったもの。
昨日のステージなんか、目に見えない人の顔がみんなステージをつくっているわけ。ヒシヒシと感じる。俺たちがパフォーマンスをすると、おそらく感謝の祈りが人を納得させて、共感させて、喜んでくれるっていうことがこう、ウェーブのように出てくる。「俺が俺が」っていうパフォーマーは、人を感動させないよね。
だから、お互い様でしょっていう意味だよ。そのお互い様がね、なんとなくじゃなくて、ものすごく濃く、胸と胸が共鳴するような瞬間っていうのが昨日はあった。それをつくり出せる縁の下の力持ちって、一番ハッピーな仕事でもあるんだよ。
俺時々ね、人を支える仕事するの。裏方が好きなんだよね。実は出る方はあんまり好きじゃない。観ていたい方なんだよ。観客になりたい。でも、昨日のはよかったよ、本当に。ありがとうね。

生きることは見ていたい瞬間の連続

ケント:

僕はすごい不思議なんだけど、デボさんと対峙してみるときに、デボさんを見てるんだけど、どこかで自分を見てるかのような瞬間もあるんです。なんていうか…クマと対峙したときによく言うじゃないですか。怯んだ瞬間に食われるって。デボさんを目の前にしたときに、パッと目と目があった瞬間に、自分が本当の意味で自立できてないと、これは相対せないんですよね。

でも逆にいうと、自分がしっかり自立して、ちゃんと見た瞬間って聖域なんですよ。雑念や、いろんな音とか雑音っていわれるものも、すべてがなくなるようなユートピア。マトリックスの世界に入っちゃって、この瞬間がなんかこう…本当に瞬きのように一瞬が永遠のような瞬間になって。生きることって、そういうことなんじゃないかなと思うんですよね。昨日の瞬間もだし、この瞬間も、瞬間の連続を増やすべきというか。これは特別な人にだけじゃなく、僕はそういう瞬間を常に見ていたいと思っていて。僕自身、そういう体験ができる瞬間でしたね。

異種格闘技戦

ケント:

混ぜるな危険ですか?(笑)

新谷:

異種格闘技戦だから、何が起きるかわからない。昨年、ケントさんが北海道にいるときに、阿寒に寄ってもらって、デボさんに会ってもらったら何かが起きそうと感じて。
到着したらいきなりもう阿寒の雰囲気と融合してケントくんは踊り出してて、そのなかで、デボさんが合流して。
僕としては、結構客観的に、これ噛みつくか噛みつかないか、どうなんだろう?みたいな感じで見てた瞬間あったんですけど、まあそこがスタートでしたね(笑)

ケント:

まさかそんな風に見てると思わなかった。(笑)

デボ:

正直、(ケントさんを)知らなかった。で、 話聞いた時に、何者なんだべ、と一応調べたの。すげえ人だな、と思って。だけど、疑問に思った。なにしに来るんだろって。俺の世界にはないから。映像の向こう側の、スターだからね。

でも会った途端ね、ピタッとくるのはすぐ解った。それで調子乗って、「おい、湖いくぞ」って。

新谷:

僕はそれぞれとお会いして、なんか刺さってくるものが一緒でしたよ。
噛みつくか、仲良くなるか、どっちかだなと思って。混ぜてみました(笑)

ケント:

ありがとうございました(笑)

新谷:

デボさんが湖いこうって言ったとき、すごい絶好の天気で。その時即興で踊った情熱の舞がものすごく印象的で。

デボ:

あのとき、ものすごく面白いなと思ったのは、そこらへんにいるおばちゃん、ちょっと来て!と。

ケント:

コタン(阿寒のアイヌ村)の方達ですよね。

デボ:

その場で目に入った人に誰でもいいから、こういう人がいるから歌って!って言ったら、いいよっつって着物を着て湖行って。いや俺、あのノリが素敵だなと思ったの。

新谷:

ね、皆さんものすごく楽しんで参加していただいて。みんなの笑顔も忘れられないですね。

ケント:

最高でしたね。

舞台本番のこと

デボ:

昨日のリハも、俺は癖があるから、ケントさんと何かがスパークするだろうっていう予感が、感覚的にあったわけ。引き出す方が好きなの。だから、用意した杖(タクサ:お祓いに使う)は、俺が振り回そうと思ったんだよ最初。でもね、ケントさんの顔見て、この人に持たせた方が活きるなって。俺は腕1本でやるってその場で決めて。で、どうやったらふたりがバーンと揃って、1+1が5にも10にもなるんだろう?って考える。それがリハのときにうまくいったなって、もう大丈夫って思った。

ケント:

じゃあこれをってデボさんに初めて渡されたその杖なんですけど、不思議としっくりくるんですよ。もうちょっと触ってみたほうがいいんじゃないかって、唄い手の方ももしかしたら思ったかもしれないけど、これ持ったことあるっていうぐらいになんの問題もない。尺もすべて解ってるというか、長さも完璧なんですよ。だから、扱いやすくて。

デボ:

何が合うか、イメージして来たんですよ。

新谷:

阿寒湖の時も、別に打ち合わせも何もせず始めましたけど完成度高かったし、今回もリハーサルっていうリハーサルはそんなにやらず、時間を設けて場所もお借りしたんですけどね。

デボ:

手順決めただけで。

新谷:

段取りだけして。あとは尺もなにも、本番一発というか。

デボ:

唄い手の三人(山田良子さん・餅川ステファニー奈々さん・フース・アレックス・マサヨシさん)も良かったよね。なんで彼女たちを選んで頼んでるかっていったら、我々がやろうとするステージングに感覚で答えてくれる人を選んでるの。上手いとか下手以上にね。そういう人がバックで唄ってくれないと、俺たち務まらないのさ。
決め打ちであーだこーだじゃなくて、見て、あって思ったらそこで切り替わるよってちゃんと反応したでしょ?そういう人とやらないと、俺達が生かされないのさ。だから、あの人にお願いする。あれができるっていうのは、本人は気が付いていないすごい才能なの。

ケント:

昨日の映像、打ち上げでみんなで少し観ましたけど。あれはちょっとすごかったですね、本当に。やってても思いましたけどね。

デボ:

俺の魂はステージにいなかったね。フワーっと行ってたね。

ケント:

そしてステージから見ると、もうまんまるの月がこう、うっすら雲にかかって、超幻想的な世界のなかで、すべてが物語っていたなと思って。本当ね、もうシンプルにまたやりたい。これしかないですよね。

あと、120人の子たちとの踊りを、本番で初めて観ていただいて、デボさんにもすごく良いと言って頂けたんで、嬉しかったです。僕にとってはこの十数年、僕だけではなく、やっぱりその次のジェネレーション、そして年は別に関係なく、もうすべての人が八百万で踊りを通じて繋がっていってほしいなと考えているので。その象徴に『六花の祈り』があると思いました。

救いのダンス、戦争反対

デボ:

おそらく今の若い日本人ってダンスで救われてると思う。全部スマホ、パソコン、ネット空間のごちゃごちゃのなかで生きているから、自分の身体を駆使して、動いて汗をかいて楽しむだけっていうのは、おそらく人を救ってるんだよ。こういう時代だからこそいちばん必要なのはそういうことなんだよ。

新谷:

オリジナルな表現を自分でできるのが、パフォーマンスのいいところですよね。

ケント:

踊りって、ボディーランゲージというか、身体で伝える表現じゃないですか。僕は戦争反対のメッセージをはっきり伝えられて、良き形で本当に大きな器で受け止めていただいて良かったと思っています。

世界平和に対しては、皆さんいろんなことをやってるんですけど、実際まだお互い傷つけあったり、いわゆる武力の「武」と器材の「器」武器を持って戦ってるじゃないですか。
でも、小さい頃はみんな言われたわけですよ。友達と喧嘩のときに、殴り合ったら駄目だって怒られたわけですよね、学校の先生に。または地域の人に。でも、大人は何やってますか?っていったら、とんでもない戦車で殺し合ってそれをメディアで伝えて。あんなものを見せるぐらいだったら、『六花の祈り』を見せてほしいと思うんですよ。なぜかというと、何か問題が起きたときに解決方法として銃取り出して、ナイフ取り出して、相手がナイフ持ったら、こっちはもっとナイフよりも強いもので…この発想はね、よくないんですよ。

笑われるかもしれないですけど、ほんと世界中を踊らせたいんですよ。まず踊れと。踊ってみろと。そこでわかることっていうのは、君のハートビートとあなたのハートビート。You are me, I am you. 僕はあなたで、あなたは僕。お互い同じだから。

僕、20代にマイケルを追いかけてアメリカに行って、きっかけはマドンナでキャリアが始まるんですけど、世界37カ国、今に至ると50カ国回らせてもらって、南極北極以外全部行ったんですけど、それぞれの大陸で感じたのは、どこ行っても同じだということ。簡単に言うと人類みな兄弟。よく言ったもんだというぐらい、本当に同じで。日本でも47都道府県全部行ってますが、全国どこに行ったって同じなんですよ。それだけのことなのに、なんか全部ディバイドして、これは、この県のここから何かとか。国はこうでこうで、パスポートってやるんだけど、もうちょっと俯瞰で宇宙から見たら僕たちみんな地球出身、同じ星出身だから、一種なんですよ。もっと俯瞰から言ったら、同じ宇宙出身じゃんと思ったらそれもまた一種なんです。

『六花の祈り』に僕が込めた想いはそれなんです。殺すより生かしたいし。殺し合いを止めるか、または加勢するか?だったらやっぱり、踊って解決しましょうよっていうのが、僕の人生の過ごし方なんですよ。

それをデボさん、プリズムさんと今回のコラボレーションで、市制100周年というこの雪まつりでやらせていただいた。そしてそこに僕自身がもってきた想い、次のジェネレーション、僕でいう、いちばん身近な息子・娘が同じようにステージに立って、そのメッセージを伝えた。ここにリアルな僕自身が受け継いでるなにか、そして受け継ぎたいなにかがあって。
僕は常若(とこわか)の精神で、この先極端な話、僕の肉体が滅びようとも僕のマインド、精神を次のジェネレーションにやっぱり残していきたいものだし、このステージは本当に終わらせちゃいけない、これを始まりにしなきゃいけないと思って、今日ここにいます。

『六花の祈り』数字の6

新谷:

今回プログラムをつくるにあたって、僕がプロデュース、中身はケントくんに全部やってもらって、何かテーマを決めなきゃいけないということで、コンセプトをつくってくれた人から『六花の祈り』っていう言葉が出てきて。
六角形の雪の結晶の話をしたときに、ケントくんもデボさんも6という数字には思い入れがあると。アイヌでも6という数字は非常にいい数字だと。

デボ:

完全数字。一番理想とする数字。

新谷:

意味があるんですか。

デボ:

意味がある。例えば、食べ物を自分の分でひとすくい取りたい。そしたら片手にあと1個あれば充分だよっていう意味なの。5本の指で救って、あと指ひとつ分。両手いっぱい取ったらそれは欲張り。だから片手にちょっと多いぐらいが理想なのね。大漁を祈ることもない。間に合えば大丈夫。でも次のためにちょっとは欲しいから、1年分よりちょっと多めに山や川や海から食料をいただくという考え方が、片手に+1本。それで6。

新谷:

なるほど。

デボ:

そういう精神的な支えになる数字が6なの。それで「六花」って聞いたときに、お、きたね、と思って(笑)

新谷:

おふたりからもう即答で同じように返ってきたので。
ケントくんも6っていう数字は…

ケント:

僕は愛知県のおじいちゃんとおばあちゃんが農家で、百姓の孫として育ててもらったんですけど、おじいちゃんたちが大切にしているものが『風・空・土・火・水』っていう「五輪書」に出てくる5個なんです。それに僕は宇宙、この6個のエレメントで現実が拡張されると思っています。実は7個目と8個目があるんですけど、これはdreamとlove。夢と愛。でもこれは、あえて可視化しなくていいと思っているものだから6個。拡張現実といってもテクノロジーの話ではありませんけど。

だから今回の『六花の祈り』って言われたときに、なんかすごいなと。で、さらに雪の結晶はひとつとして同じものがないといいますよね。ちゃんと見るとひとつも同じモノがないって、なんて美しい話なんだろうと。それが祈り方、祈りって様々であっていいってことになるし。

今回「One」というタイトルの、アドバンスクラスの子たちと踊ったものは、風・空・土・火・水・宇宙というエレメントで構成していて、最後に革命、Rebornを経て、自分の想いを空に解き放つんです。これがオーガニックなARなんですよ。みんなちゃんと感じてくれたらここにあるよと。それをしっかり空に届けて、自分の願いを宇宙へ、そして繋がるっていうことだった。それが僕の表現だったんです。で、その後は『NO WAR』で戦争反対なんですけど。『六花の祈り』はそういう意味で、僕の表現のすべての象徴だと思っていますね。

新谷:

タイトルが決まってから、自然と色々なものがかたちになり、『六花の祈り』の表現に繋がりました。

デボ:

ポスターのイメージもね、ステージングを決めたなって思った。あの雰囲気で、あ、これでもう成立するって。

新谷:

いやこれね、もう映画のポスターですよね。リアルにパフォーマンスしているときの1枚をさらに仕上げてくれた。これは僕の専属でついてくれているフォトグラファーの Yoshiko Sato さんが阿寒に来て撮ってくださって、札幌の對馬匠亮さん(株式会社木村エージェンシー)っていう方が仕上げて。

『六花の祈り』ポスター
デボ:

ポーズじゃ出ないからな。

ケント:

出ない、動いてる。実際のパフォーマンス中の1枚。僕、人生で初めてですよ。後ろ姿だけのビジュアル。一番嬉しかったのは、僕が子供に見せたい姿なんです父親として。そして…デボさんがもう…(笑)これはね、年齢でいうと、何万年か生きています。一生夢限、夢の限り。

デボ:

場所がよかったんだよ。湖のそばで、うしろには雄阿寒岳があって、手前に砂浜があって。その砂浜で踊ったんだよね。自然に囲まれてるステージなんで、なにかを引き出すよね。引っ張り出されたよあのとき。

新谷:

コタンのお三方に歌っていただいてね。皆さんの純度がまたすごかったですよね、本当に。まさに自然でしたね。

『六花の祈り』の今後

新谷:

また、『六花の祈り』をこの後どう展開していくか。僕は何ができるだろう、何をしたらいいんだろう、と思うんですけれども(笑)チャンスがあれば今回のように皆さんのサポートをお借りして、繋げていけたらと思います。

デボ:

不安だって言ってたけど、後悔はしないでしょ?

新谷:

後悔はしないですね。

デボ:

それが大事なのよ。

新谷:

だから一応、自信にはなってます。

デボ:

新谷さんだけじゃなくて、『六花の祈り』に関わったみんなが持っている、何かしらの不安。将来の不安、子供たちの未来への不安。だから、そういうことへの癒しになるような、説教じゃなくて導けるパフォーマンス的なものが必要なの。
あの阿寒の経験からして、自然のなかでこの人(ケントさん)を撮った方が、もっと面白いことができるなって俺は思った。
それをね、映像で撮ってみたいなと。それが『六花の祈り』の継続性にもつながっていくだろうな。それを人々に、ケントモリという男の平和への想い、こだわり、そういったものをちゃんと出せたらいいなあっていうのは、今の俺の望みだね。

ケント:

最高じゃないですか!!やります!!(笑)デボさんにそれ言ってもらえるって、もう。やらなくて後悔よりも、やって後悔。またそこに学びがあるのがいいと思ってます。

マイケルやマドンナ、そういうところに向かって行ったときに、当時は何千人とオーディションに来る人たちがいるなかで、”ひと目”見てもらえる、それは、もしかしたら1秒にも満たないかもしれないけれど、僕は人生を乗せて命をかけていたんです。みんなもそうなんだと思うんですけど。そしてその”ひと目”の次の連続のまた次、その次の、1秒1秒の重なりで、あ、もうちょっと見ていきたいってなっていくものなんです。

こんな素晴らしい空間でこのお話が出来ることは、今までの1秒1秒の決断、判断がそんなにずれてなかった証拠なんだと思います。だからデボさんのイメージと、僕自身もなにかを掛け算できるのであれば、もう全身全霊でやりたいなと思います。

素直さと謙虚さ感謝の心

デボ:

昨日と今日で感じたのはケントさんが、えらい謙虚な人だなってこと。俺が、俺がってのが無いのよ。パフォーマンスを命がけでやってるだけ。で、伝えたいものを伝える。

それで思い出したのが、昔ブラジルのインディオと会話しているときに、彼らが素敵なことばを俺に言ってくれたのね。人間というものはこの地球上に生まれて、一生を過ごして死んじゃう。何も残さず、名前も残さないで去ることができる存在なんだよ、ということばを聞いたときに、俺それでステージが変わったの。いつも自分を表現したい、見せたいかっこよくしたい、というのもいたわけ。あ、そうじゃない。名前すら残さない生き方ってどうしたらいいんだろうって思ったら、すべてのことを一生懸命こなせばいい。死んだ後の心配までする人間の欲深さは捨てよう。お墓もいらんかもしれんなと。この人(ケントさん)といて思い出したの。忘れてたの、そのことば。だから、謙虚な人。

新谷:

「ケンキョ・モリ」

ケント:

もう名前変えました、今(笑)。
僕は、デボさんこそ誰よりも謙虚な人だと思っていますよ。

新谷:

今回のプロジェクト、もう頭から今まで感動の連続でしかなくて、かなり濃い時間でしたね。
プリズムは元々、映像の会社なんですけど、会社のテーマに「表現の無限の可能性を追求する」というのがあるんです。
今後もこの『六花の祈り』がまた違うかたちで成長して、拡張していくでしょう。また新たなプロジェクトも立ち上がるかもしれないですし、それぞれの世代でそんなプロジェクトをつくっていって欲しいなと思います。

話は尽きませんが、本当にいいお話をお伺いできました。今日はお忙しいところありがとうございました。

デボ:

ありがとうございました。

ケント:

夢の時間でした!

CONCLUSION

プロジェクト『六花の祈り』について、詳細はプロジェクトページの特集記事をご覧ください。

THE FRIEND


Dance Artist

MORI KENTO

ケーエムワン株式会社 取締役
AR&ダンスアーティスト
ケント・モリ

HISTORY

「マイケル ・ ジャクソンやマドンナ、 世界が認めたダンスアーティスト」

これまでにマドンナ、クリス・ブラウン、アッシャーなど、
世界的トップアーティストの専属ダンサーを務め、世界の最前線の舞台・ツアーで活躍。 
グラミー賞をはじめとする数々のアワードへの出演も果たし、 
これまで全世界 5大陸 50カ国 200以上の主要都市においてパフォーマンスを行う。
近年はダイナミックな展開を取り入れた70 曲以上ものオリジナル楽曲と、世界最高峰のデジタルアート集団 「Moment Factory」 との共同プロジェクトで開発した最先端のARをLIVEで生成するパフォーマンスを掛け合わせ、世界に未だ無い新しい表現を追求している。
2021年より、様々な自治体と、#日本を世界へ プロジェクトを展開している。

TikTok:https://www.tiktok.com/@kento_mori_official
Youtube:https://youtube.com/@KENTO-OfficialKM1

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