Mina Mina
『2025 さっぽろ雪まつり(第75回)』大通西8丁目「雪のHTB広場」にて行われた一夜限りのスペシャルコラボ・ダンスパフォーマンス『ミナミナ』の、企画・演出および映像コンテンツ制作からオペレーションまでを統括しました。
パフォーマンスのタイトルは、『ミナミナ』。日本語の「みな(皆)」とアイヌ語の「ミナ(笑顔)」、同じ音ながら意味が異なるふたつの「ミナ」を合わせることにより、文化やことば、背景が異なるもの同士でも手を取り合って踊れば、そこには笑顔が生まれるという意味を込めています。
今年の舞台となった大雪像は、小樽の歴史ある「銀鱗荘」がモチーフ。地域の文化や伝統を大切にしながら世界と繋がるという、新たな表現を目指して行われた北海道発の「一夜限りの特別なパフォーマンス」を、多くの国内外のお客様にお楽しみいただくことができました。
これまで2023年の『六花の祈り』、2024年の『Frost Flowers』と過去2回に渡り、同会場にて世界平和祈念をテーマとした一夜限りのスペシャルコラボ・ダンスパフォーマンスをプロデュースしてきましたが、3年目となった今年は、これまでにもメインキャストとして参加いただいたアイヌの伝承者、秋辺デボ氏を演者兼プロデューサーとして迎え、アイヌの口頭伝承「ウチャシコマ」をもとにした「ク リムセ(弓の舞)」がうまれた物語を、アイヌ舞踊とコンテンポラリーダンスとのコラボレーションで表現するという試みに挑戦しました。
これまでの取り組みと異なるのは、道外からのゲストは招待せずに道内の演者だけでチームを組んだことです。これには、雪まつりの舞台ただ一度限りで終わらせるのではなく、将来的・発展的なパフォーマンスを視野に入れており、そのためショーの構成にはこれまで以上に話し合いとリハーサルを重ねました。
チームの中心を担ったのは、今回雪まつりのために編成され、札幌ウポポ保存会の藤岡千代美氏を筆頭にしたアイヌ伝統舞踊の踊り手と唄い手の「チームピリカプ(プは小文字)」。そこに北海道を舞台に活躍するダンサーの品田彩氏、大渕水緒氏に参加いただき、秋辺デボ氏とプリズムプロデュースのもと、ショーをつくりあげていきました。
全体を通して20分ほどのプログラムは、アイヌ語の挨拶からはじまり、タクサリムセ〜「ク リムセ」を元にしたオリジナルパフォーマンス、そして自然への感謝やダイバーシティ、世界平和への祈りを込めた「This Is Me」から構成され、全編を通じてプロジェクションマッピングを交えた特別なステージとなりました。
会場:大通西8丁目 雪のHTB広場 大雪像ステージ
日時:2025年2月7日(金) 16:50〜17:20 (30分間)
【出演者】秋辺デボ
<チームピリカプ(プは小文字)>澤井和彦、早坂雅賀、平澤真臣、藤岡千代美、柾木里恵、上野亜由美、新谷由美子、川上恵、江添雅子、新谷菜々、川上容子、山田良子
<ダンサー>品田彩、大渕水緒
【楽曲提供】釧路市、かとうなほ
【主催】株式会社プリズム
【後援】阿寒アイヌ民族村 阿寒アイヌ工芸協同組合 釧路市 公益社団法人北海道アイヌ協会 HTB北海道テレビ放送
【ポスターデザイン】北原佳織
【全面協力】HTB北海道テレビ放送
【総合プロデュース】プリズム 新谷暢之・秋辺デボ
【制作・ディレクション】プリズム 冨澤由紀
【プロジェクションコンテンツ制作】プリズム 出羽岳史
【タイトル・コンセプト】プリズム 新谷慶子
【PR担当】プリズム 松田奈月
◼︎2025 さっぽろ雪まつり(第75回)公式サイト:
https://www.snowfes.com/
◼︎秋辺デボ×藤岡千代美 スペシャルパフォーマンス『ミナミナ』へ向けての想い:
https://www.eizou.com/dialog/2694
コンセプト:『ミナミナ』
アイヌのことばで ミナは笑顔
みな ミナ
みんなを笑顔に
ことばを越えて 想いはひとつ
ミナ ミナ
笑顔を交わそう
手を取り合って 笑顔で踊ろう
みな みな
想いつながる
ポスターデザイン:北原佳織
アイヌの伝統的な要素と、コンテンポラリーな要素の融合をどのようにどの程度行うのか、という話し合いを重ねていくなかで、コラボレーションによって表現の幅が広がったことにより、伝統的な要素や想いがより一層強調される結果となったのが印象的でした。
練習やリハーサルを通じて、演者の皆さんが終始楽しそうだったことや、終演後のまたやりたいという言葉、そしてご覧になった観客の皆さまが、途中で一緒に踊り出したり、歓声をくださったことなど、ひとつひとつが感動的な瞬間となりました。
技術的には、パフォーマンスが早い時間からの開催だったため、明るさのなかでプロジェクターの映像が十分見えるかどうかというハードウェアの懸念、そして演者の皆さまの想いを映像としてアウトプットすることに対するソフトウェアの試行錯誤がありました。結果的には演者・観客ともにたくさんの喜びの声をいただき、良い結果が得られたことに安堵しています。